飫肥杉の特徴は、樹脂を多く含んでいる為弾力性があり、湿気に強く腐れにくく、曲げに耐え加工しやすい材質です。また、裂けにくい、折れにくいに加え衝撃や揺れに強く、芯材(赤身部分)については、シロアリに侵されにくく耐久性があります。そのため、主に柱や板などの建築構造用材として使われています。
肥杉は以前からシロアリへの耐久性が知られておりました。
※松林内での比較試験の様子(宮崎市一ッ葉海岸にて)
殺蟻成分に着目した実験では、芯材の木粉を使用した実験では、11日目にイエシロアリが30頭全滅したという結果が出ています。宮崎大学・東洋白蟻研究所の研究によると、飫肥杉の材部にある成分が殺蟻活性分であることを突き止めています。
※松林内での比較試験の様子(宮崎市一ッ葉海岸にて)
また、宮崎県木連が、飫肥杉芯持ち柱材(12㎝角)と欧州産集成管柱のホワイトウッド(12㎝角)とのシロアリに対する耐性について土中埋設試験を行いました。約10カ月の埋設試験の結果、飫肥杉材は、生材・乾燥材ともにシロアリの食痕跡がわずかにある程度でした。一方、欧州産集成管柱ホワイトウッドは、表層部がシロアリの被害でぼろぼろの状態でした。
この実験結果から、飫肥杉のシロアリに対する強さを再認識しました。
スギ樹幹上に見かけるヒゲ根状あるいはイボ上の突起を『気根』といいます。組織的に芽なのか、あるいは根なのか見解は分かれています。製材すると材面に黒い小さな斑点となって現れます。通常の枝は、樹心から発生し、幹とともに成長しますが、気根は、発生してから2年から3年で巻き込まれ、また別の箇所から発生します。このため、樹心につながることはまれで、強度性能等に影響はありません。地上高1m以下に多く見られます。飫肥杉には、比較的多く見られます。逆に『気根』が製品等にありましたら、樹種は、飫肥杉と言われる程です。
「木」の表面のざらつきには光をやわらげ、光の反射を防ぐ力を持ち、目に有害な紫外線を吸収しやわらげてくれます。そして、その木目の優しさから安らぎと心地よさを感じさせてくれます。
「木」には、吸放湿するはたらきがあり、室内の湿度が高い時は湿気を吸収し、乾燥時には水分を放湿し室内の湿度を調節し快適な空間をつくりだします。そのため、金属やコンクリートに見られる結露の発生を抑えます。
写真提供/岡野 健
(NPO法人木材・合板博物館館長)
「木」の特性には、寒暖になじむ性質があります。「木」にふれてみると、冷たすぎるとか、熱すぎるという事はなく、ふれる肌になじんできます。それは、木の細胞が熱を伝えにくい性質をもっているからです。木の細胞には、穴が開いたパイプのような細胞のあつまりがあり、パイプの中には空気を含み、熱を伝えにくくしています。そのため、木は断熱に優れています。四季のある日本の住宅には他の材料と比較して、もっとも適した材料だと考えます。
イラスト/「木育ノート」
(財)日本木材総合情報センターより
「木」にはパイプのような細胞により、衝撃を吸収するクッションのようなはたらきをします。適度なやわらかさから快適で歩きやすく疲れないなどの特長があります。そのため、学校の教室や体育館の床にも使われています。歩き始めの赤ちゃんや、動きが活発な子供たちの生活にも木造住宅が適していると考えます。